示談がうまくいかない時は
『 示談が上手くいかないときの対処法を把握してみよう 』
交通事故に遭うと誰もが嫌な思いをします。怪我をして痛い思いをするのはもちろん、加害者にはそれについての責任を取ってもらわなければならないのですが、この過程で非常に不快な思いをします。いろいろと難癖をつけられて、治療費が支払われなかったり、事実とは違う言い分を主張してくるといったことがあります。そうなると当然争うことになります。初めての事故だと どのような対応を取ったらいいのかわからない方がほとんどです。
損害賠償の問題を解決する方法は?
まず、交通事故の被害者は 被害補償 というものを受けることができます。
本来受けられるべき十分な補償を受けるための手段はいくつかありますが、簡単にまとめると以下の4つの方法に分かれます。
- 保険会社と示談交渉 ⇒ 示談書作成
- 日弁連交通事故相談センターでの示談斡旋
- 交通事故紛争処理センターでの和解・裁定
- 裁判 調停(裁判所) ⇒ 調停調書作成
訴訟(裁判所) ⇒ 和解勧告・和解調書作成
どれを選ぶかのポイントは、置かれている状況によって一番利用価値のある選択をする ということです。それぞれの違いを説明していきます。
自分がどれに当てはまるかを確認してみてください。
一般的な解決策は?
交通事故で一番多く取られる解決策は「 1. 示談 」 です。
加害者や加害者側の保険会社と話し合いをして問題解決を図るという方法で、交通事故解決手段として最も利用されている方法です。
示談で解決するのは以下のような場合です。
- 損害額が小額である
- 自分の主張と相手の主張がほぼ一致している
- 保険会社もある程度は譲歩してきている
こんなときは示談交渉で解決することがおすすめです。
ただし注意しなければならないことがあります。
示談が上手くいかない場合は?
たとえば、加害者側と主張が対立している場合や、補償すべき治療費や損害賠償金を払ってもらえないといった場合です。
このような場合は、「 2. 日弁連交通事故相談センター 」での示談斡旋や、「 3. 交通事故紛争処理センター 」 での和解・裁定を行うという方法があります。
これは裁判ではありませんが、裁判に準ずる形態での 裁判外紛争処理 ( ADR ) というもので結論を出す方法です。
ここでの裁定に保険会社は従わなければならないので、実質的に裁判を行ったのと同じ効果が得られるようです。
担当してくれるのは 嘱託弁護士 や 学識経験者 で、彼らが中立的な立場で相談に応じ、示談斡旋や和解の斡旋を行います。
弁護士と聞くと被害者の見方をしてくれると勘違いされるかもしれませんが、この機関の弁護士は双方の主張を聞いて判断する 裁判官 のような立場なので、被害者を弁護してはくれるわけではありません。ですから本人訴訟 に近く、利用するには法的に主張・立証する力が必要になってくるようです。
また、ここでは 後遺障害認定等級 には触れてもらえないので、機関の性質を良く理解した上で利用する必要があります。
上記以外の方法で解決するには?
この他の解決方法として挙げられるのが 「 4. 裁判 」 です。
実際に加害者側の保険会社の担当者と交渉してみればわかりますが、こうした仕事を生業としているプロと対等に交渉するのは容易ではありません。
また、素人ではどうしても越えられない壁があります。越えられない壁というのは 損害賠償額の算定基準 です。
損害賠償額の算定基準には以下の3つがあります。
- 自賠責基準
- 任意保険基準
- 裁判基準 ( 弁護士基準 )
簡単には、
- あなた自身が交渉する場合は 「 自賠責基準 」
- 保険会社同士が交渉したら 「 任意保険基準 」
- 弁護士が交渉したら 「 裁判基準 」
そして、自賠責基準 と 裁判基準 の金額の違いを、一番軽いとされる 後遺障害 14 級 で比較すると下のようになります。
- 自賠責基準 : 320,000 円
- 裁判基準 : 1,100,000 円
実際には これだけ差があります。
これを知ったあなたは「ぜひ裁判基準で示談をしたい」と思うかもしれません。
でも、どんなに勉強して、どんなに法的攻防能力を身に付けても 「 弁護士に依頼します 」 と言わない限り、加害者の保険会社は裁判基準にはしてくれません。
なぜなら、裁判などの強制力を伴う手続きを取らない限り、法的に正しい賠償を任意に行う義務は保険会社にはないから です。
弁護士 に委任して 裁判解決を前提とした対応 を取って、はじめて保険会社も 「 裁判基準 」 での金額を考慮してくれます。( 保険会社の担当者同士の交渉でも 任意保険基準 です )
そのため、正当な賠償額の話し合いを行うためには、 弁護士 に委任することが必要不可欠だということがわかると思います。
自分で行なうよりも、最初から 弁護士 に頼んだ方が損害賠償金の額も上がりますし、余計な不安やストレスを抱えることありません。
ちなみに、裁判と言っても 「 裁判を前提とする 」 のであって、実際に裁判をすることはあまりありません。
毎年、膨大な数の交通事故が起きているので、過去の判例をもとに大体こんな判決になるということがわかります。弁護士さんはこれをもとに
「 裁判をするとこんな感じになりますよ。実際に争うとこれくらい費用が掛かりますよ。だったら、この費用を賠償金として支払った方が良いのでは? 」
といった具合に相手の保険会社と交渉をしてくれます。ほとんどの場合は、これで話がまとまって終わります。要は「 裁判を前提とする 」 というのがポイントになります。
特に、治療しても 「 しびれ 」 や 「 痛み 」 などが取れないという人や、後遺障害 が残るかもしれないという人は尚更です。
一度、示談が成立してしまうと、後で痛みが出ても請求することはできません。
何も知らないまま急いで事を進めようとせず、まずは弁護士に相談をして、今後どのようにすべきかを専門家の意見を聞いたうえで考慮することが大切です。
ただし、ここで注意しなければならないのは、一口に弁護士と言っても、さまざまな専門分野に分かれているという点です。
交通事故に関する法律相談をするのであれば、交通事故問題の解決に詳しい弁護士へ相談した方が最適なアドバイスを得やすくなります。
ちなみに、あなたが加入している自動車保険に 弁護士費用特約 が付いていると、弁護士費用を保険会社に負担してもらえることがあります。
交通事故に遭うと、解決までの道のりは とても長いのですが解決の糸口は必ず見つかります。
諦めずに納得のいく形での解決を行うようにすると後悔することも少ないと思います。
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